第18回 TIS公募

審査員から作品へのコメント

TIS Grand Prize TIS大賞

アサバマリエMARIE ASABA

  • 今回の最終審査の中で、絵の緻密さ、色彩、モチーフなど、いずれをとっても、個人的にも文句なしの大賞でした。強いて言えば、全然違うアプローチのシリーズも併せて応募されていましたが、メインのものが充分魅力的だったので、逆に(評価する上で迷ってしまうので)損かなと思いました。大島依提亜
  • 受賞作として選ばれた輪郭が柔らかいタッチの作品の方が、良いと思いました。そっと手のひらで触りたくなります。関戸貴美子
  • 抱きしめて撫でたくなるような、丸い曲線の美しさが印象的な作品です。何かを訴えかけてくる表情の動物たちと、表情を見せずに後ろ姿で語る少女の組み合わせも面白いなと思いました。前半の作品の雰囲気で、人間の顔を表現したらどうなるのか見てみたいです。tupera tupera
  • 大胆さと緻密さのバランスが気持ち良かったです。目や指、毛の表現、丁寧な仕事に好感を持ちました。描かれてるモチーフが多様で且つ、全体を通して一貫したスタイルで出来栄えも安定していることも素晴らしいと思います。今後の活躍を祈念しています。タケウマ
  • 個人的にはシンプルな人物と動物、動物単体だけの作品で選びました。動物が特に魅力的。テクスチャが美しく、デフォルメもオリジナリティがあってとても上手い。表情がとっても豊かで鳴き声が聞こえくるよう!せつな可愛い!レトロなモチーフやディテールが今っぽく見えるのも新鮮。人物をたくさん描かれた作品は仕事として需要はすごくあると思うけれど、コンペでは少し審査員の判断を悩ませるかも、と思いました。丹下京子
  • 様式が完成されており、描きたいものがはっきりしていて、それをどのように自分のフィールドで展開すれば良いのか自覚されているんだろうなと思いました。一枚絵の完成度が高く、安定感があります。西山寛紀
  • ごまかしのない正直な絵だと感じました。正直さがこのクリアな空気感になっているのだと思う。100%ORANGE

Gold Prize 金賞

いそiso

  • 稀な感性で不思議な激しさがあって見飽きないです。犬ん子
  • 美しい線、スモーキーな色の組み合わせ、人物や自然物の独特なデフォルメ、アナログっぽいテクスチャ、どれをとってもうまい、細部のしつこさがクドく見えないし美しい。そして単純に好き。1次審査の時から髪を引っ張り合う喧嘩の絵がずっと心に残った。私の中の大賞作品。人物の顔をどんな風に描くのか、今後も様々な作品をぜひ見てみたい。展示をされる時は教えてください。丹下京子
  • 簡単に理解しようとすることを突き放すような雰囲気が好きです。地面や山の描き方が、私はこれが好きなんですと言ってるようで、そんなこだわりも印象的でした。タケウマ

Silver Prize 銀賞

たざきたかなりtakanari tazaki

  • 表現は作者がこの世界をどう見ているかの提示でもありますが、まさにたざきさんを追体験する楽しい時間を過ごせる作品でした。次は是非、尖った配色の作品も見てみたいと思います。タケウマ
  • ものすごく上手いのにちょっと下手っぽく見せるのもまた上手い。切り取られた一瞬の空気感が歪んでいて妙なのがいい。時が止まっているのに音だけが聞こえてくるような。あるいは時が逆戻りしているような‥オンライン審査なのに画像をかなり拡大しないとわからない細かいところで遊んでいるのも好き。(ツッコミ待ちしていますね?)そういうところを一生懸命描いているのもいい。いつかお話をしてみたいです。丹下京子
  • オーソドックスな手法で描かれていますが、描き手としての総合力を感じずにはいられませんでした。絵の世界観、表現力、視点、そしてほんのひとさじのユーモアが素晴らしい。一枚絵の世界に浸れるスケール感と絵力を感じます。何を描かせてもこの人なりの良さをイラストレーターとして発揮されるように感じました。西山寛紀

SHIROMISHIROMI

  • 去年もそうでしたが、ここ数年の日本のイラストレーションの抽象/静物画流行りのトレンドとは違うものを、と意図的に避けていた静物画カテゴリーですが、表現が面白く際立っていたので、素直にいいなーと思って入れさせていただきました。大島依提亜
  • 静的なようで動的でもある。暗闇に光る、不思議な質感に魅力を感じました。切り絵なのか?写真なのか?デジタルなのか?手法も気になる作品です。この手法で他にもどんな作品ができるのか、もっと見てみたいと思いました。tupera tupera
  • クールなのに懐かしさと温かみがあり、記憶に残る強さでした。犬ん子
  • 黒いバックにキラキラとしたガラスの質感が素晴らしく、インパクト大でした。今回はモチーフが統一されていたので、描ける内容が限られてしまうかもと考えましたが、むしろこの手法で幅広いテーマや、色のあるものも見てみたいと思い期待を込めて大賞に投票しました。木内達朗
  • 新鮮だった。作者がどこまで戦略的にこの作品を作ったのかはわからない。緻密にも雑にも見える。版画にも鉛筆画にも見える。このモチーフを選んだ意図も謎めいている。ただガラスと質感が似ていたから?それとも‥不思議で強い規格外の魅力がある。このシリーズがもっとあるならぜひ見てみたいし、今回この手法が初めてだとしたらぜひ今後突き詰めてほしいと思う。とんでもないものが描けそうな気がする。丹下京子

Bronze Prize 銅賞

HIROKI YAGIHIROKI YAGI

  • 一番好きな作品群でした。技術的なことよりもまず、パースや配置にこだわりとストーリーを感じられるのがとてもよかった。絶妙に心地よくない不自然な感じ。絵を見ているというかその空間や時間を体験しているような感覚になることができました。このシュールレアリスム的な要素もある考え方で今後どのような絵を描かれていくのか期待してしまいます。関戸貴美子
  • 何気ない日常の風景が、凛とする佇まいで描かれていて、心に残りました。切り取っているのは、散らかった洗面台やゴミなど生活感のある場面なのに、ハッとするほど美しい。そのギャップが面白く、ドラマを感じるなと思いました。tupera tupera
  • 構成力、とても魅力的です。舞台をきめて、配役と演技を徹底しているような雰囲気を感じました。この場面でこの配役、そうきたか!という意外性はもう一声!と思いました。タケウマ
  • 絵にならなそうな絵を描く人。モチーフの選び方がいい。ハードでまったりした感じがクセになる。100%ORANGE

ゴトーヒナコHinako Goto

  • 僕には全く描くことができないタイプの世界観が素晴らしく、このまま突き進んで行ってほしいと思います!木内達朗
  • 現実の世界とファンタジーの世界、両方描ける引き出しの多さ、線の情感、色彩感覚、良きです。ゴトーさんの描くキャラが好きなだけに、キャラ以外の要素もキャラと同等以上に魅力的になれば、考えられないくらい素敵になるのかなとワクワクします。タケウマ

Shortlist 入選

IQGM

  • コアラが大好きな人だと信じたい。どうしてもコアラが描きたい人だと。コアラの抱えた深い心の闇を描いていて‥笑える‥。何でも描ける人だしコアラ以外の動物も絶対上手く描ける人なんだろうけど、しつこくコアラシリーズを描いて発表してほしい。ぜひ見に行きたい。丹下京子

太田マリコ

  • なんだか可笑しな(でも真面目な)絵作りでは僕の中で既に定評あります。そんな人や場面が圧倒的に集っている、圧倒される世界も見てみたいです。タケウマ

天野 寿

  • スマホで撮った風景にちょっとヒネリを加えたような作品が目立った中で一番素直に気持ちよく風景を切り取っているように思えた。腕より頭よりまずはモノを観る目が良いなと思った。しりあがり寿
  • 人柄を感じる、場面の見つけ方素敵です。ほかの人は知らないけど兎に角私はこれが好きです、という作品も見たいと思いました。タケウマ

かたぎりあおい

  • いろいろ楽しさを盛り込んでどっしり描きこめるというのは才能です。HPのリスがたくさんの登山の絵は横と縦の空間が楽しくて好きな絵です。タケウマ

勝倉大和

  • 昭和感のあるタッチでパズルの様な構成が面白くて、楽しい想像力もかき立てられます。犬ん子

kei saito

  • いわゆる単体として成立するイラストレーションではなく、絵本などに展開されるであろう物語性の高い絵ですが、高い絵の技術力と日本人離れしたセンスに高得点つけざるえませんでした。1枚の絵画としての芸術性ばかりがイラストレーションではないと思うので、こういう絵の在り方も応援したいです。大島依提亜
  • イラストレーションならではの楽しさあふれるタッチと世界観が見事だと思いました。このような挿絵がたくさん載っている本があったら読んでみたくなります。木内達朗
  • 作品の完成度が安定しているのが素晴らしいです。描写要素を使った遊びも良いですね。HPにある、ネズミのエスケープ作品など好みです。抜群の安定感だからこそ逆にこの世界観では見慣れないモチーフをどう描くかも見たかったです。例えば最新の家電を描いたら、少しレトロな最新の家電になるのか、まったく新しい家電になるのか、気になります。タケウマ

小泉まお

  • 模様もしっかり描いてあるところ、ぐっときます。レイアウトや配色、いろいろ考えて描いてると感じました。その良さを残して、大胆でパワフル、伸び伸びした感じを描いたらどうなるか、見たいです。タケウマ

小泉理恵

  • 小気味好い線と、塗りも単調にならないような角度をつけたり、細かな部分でこだわっているのが良いですね。線に魅力があるので、まれに線周辺の塗りかたが線を見づらくしてるのがもったいなく感じました。タケウマ

gopeal

  • 魅力を感じました。完成度がとても高く、懐かしさと普遍性も感じられるこのテイストが今後進化していくのかがとても楽しみです。関戸貴美子
  • 今回の公募でいちばん今後が気になった作家でした。これから何をどのようにとらえ、ビジュアライズしていくのだろうという純粋な興味が湧きました。一見するとあっさりとした絵に感じるかもしれませんが、ずっと観ていられる魅力があります。バランス感も妙で、天然なのか計算なのか読めないところも良いですね。興味のある人、物、事をガンガン描いていってほしいです。西山寛紀

しまだたかひろ

  • 線画のびのびして、ほんといいですね。楽しい!という感じ素敵です。お仕事だとランドセルなども描かれてますし、オーダーされない限りなるべく描きたくないような、手間のかかるモチーフも画面に入れ込んでほしかったです。余談ですがステッカー使ってます。タケウマ

副島智也

  • 他の人とは違うちょっと懐かしいようなパワーを感じた。答えはまだ見つからないけどとりあえず体内から出てくる衝動。オシャレでもない可愛くもない、自分だけの世界がいつか見つかりますように。しりあがり寿
  • インパクトだけじゃなく、キャラクタにバリエーションがあるのも好きです。特に靴とか。好きなんだろうなーと思って好感でした。初見のインパクトの後に、二度見する要素も欲しいなあと思いました。以前見たループ・オブ・ザ・コードの装丁のお仕事めちゃくちゃ良かったです。タケウマ

中村ころもち

  • 立体作品を知ってるだけに、立体作品をもっと推してほしいです。アレは良きです。形の面白さ、魅力的です。それだけに白線の扱いが悩ましいです。あくまでも僕の好みですが、効果的な白線もあれば、推敲ポイントになってる作品もあるなと。中村さんの好みと違えばすみません。 タケウマ

NATUMI

  • となりの部屋から犬を覗いている作品、素晴らしかったです。応募作品の完成度のばらつき、ここは審査の難しい点でした。作品群の中で抜きんでた作品があると、抜きんでてるだけに他の作品を作家の課題とするのか否か。ともかく、 となりの部屋から犬を覗いている作品はホントに最高だったということだけ。タケウマ
  • 狂ったパース、無機質な植物、表情のない人物や動物と絶妙に不安な構図、それを細部まで均一に描き込んでいてどうしても目に止まる。全部が地についていない感じ、この人にしか描けない世界だと思う。地味で怖い。上手にならないでほしい。好きです。 丹下京子
  • 何かの一歩手前のような、一足遅かったかのような、おかしな気配。 ユーモア溢れる画面構成が良かった。100%ORANGE

noa1008

  • 淡々と描かれるイラストは時に機械的に見えて個性を感じにくくなりますが、noa1008さんの作品は作者の好みが反映されて、作家らしさがあるのが真似できない魅力です。小さな人も、複数パタン作るとか、魅力につながる手間をかけるのは僕好みです。制作に時間がかかる作品ですが、続けてくれたら僕得です。(無理はしなくていいですけども。)タケウマ

ぱいせん

  • たしかな技術とモチーフ選びのセンスを感じました。スタイルを生かしながらどのような仕事を今後されていくか気になります。関戸貴美子
  • 画面に二つ以上の物語性があり、それが面白く拮抗していて楽しめます。犬ん子
  • 曲線は気持ちいいですし、要素の整理も巧いです。個人的にはもっと暴れてる収まりきらない作品も見てみたいです。出品作ではありませんが、虎の頭が手になった作品、好きです。タケウマ

ひらめぐ商店

  • 応募してくださりありがとうございます。良い!以外に巧く説明できない、良い作品。表現への落とし込み具合が最高です。アナログ作品の、物体の魅力を損なわないデータ化方法を探さないと勿体ない気がします。紙が重なった厚みの、あえて影ができる写真であったり、ライティングであったり。タケウマ

火火火因

  • 巧い。応募作品を選ぶ時の客観性も良きです。鳥や植物の形、あしらいでもう一工夫できそうだなと思いました。タケウマ

牧角春那

  • 繊細で緻密でありながら、抜けのある絵として成立しているのがまず素晴らしいと思いました。色もすごく良くて、いつかお仕事ご一緒したいなと思いました。大島依提亜
  • 公園シリーズ良いですね。のんびりした感じが気持ちいいです。丁寧な描写も好きです。樹の枝と葉をどう描くかは推敲できる部分と思いました。HPにありました花言葉シリーズの、静かな愛と敬意、この徹底具合はとても素敵です。タケウマ
  • 寂しさが宙ぶらりんになっているような雰囲気に思わず手を差し出したくなった。100%ORANGE

松井あやか

  • 表現したい内容と技法・技術がよく合っていると思いました。抑制の効いた色遣いや世界観、特に煙や精霊のような手で掴めないものの表現、壁に掛かっている肖像画など、全部好きでした。木内達朗
  • 炎の生き物の絵、食卓の絵、カーテンの絵、素敵でした。あやふやな存在の表現、水でぼかして抜いたような描き方が僕には新鮮だったので、見ることができて幸運でした。応募ありがとうございました。タケウマ

松木直紀

  • 松木直紀さんが滲み出てる作品、良いですね。余談ですが、装丁画のお仕事素敵です。僕は形の気持ちよさも好きなので、特に文庫装丁画でサイズが限られた際に絞られた要素で描かれる形、素敵だなと。 タケウマ

宮下 和

  • やわらかで清潔感のある配色素敵です。宮下さんのスイートピーの作品などにも見られる、アングルの違うものが1つは紛れ込んでいる作品が好きなので、形の繰り返しのリズムに、1つは別アングルが紛れ込んでいても良いかもと思いました。タケウマ

ヤマナカハルナ

  • とにかくとても美味しそうで、眼で味わう楽しさを素直に感じられる作品でした。どのモチーフもとても丁寧に緻密に描かれていますが、その描写の技術が先に際立って伝わってくるのではなく、あくまでもまず描かれているモチーフの魅力を感じられるのがとても良かったです。西山寛紀