tamae mizukami
水上多摩江

Archive3 クロワッサン’05〜’07

クロワッサンで連載された堀江敏幸さんの「彼女のいる背表紙」の挿絵です。小説の中の「彼女」についての随筆。美しく柔らかな響きのるような素敵な文章で挿絵を任されて大変光栄でした。下に添えた文章はその回の見出しです。2005〜2007

クライアント名 : マガジンハウス「クロワッサン」

  • なんとか乗り越える。それがここの人たちのやりかただ。
  • 漢語まじりの引き締まった音と、それに相反するたおやかなイメージ。
  • 甘すぎる回想?しかし甘くない回想がどこにあるだろう?
  • 変わり果てた姿を見た瞬間、彼は世界の一角に触れたのだ。
  • 世の中には言葉で解決できないことがある。
  • 早世にこそ、ごまかしは通用しないのである。
  • 美しい母も、母の美しさも、その悪夢のむこうにしかいない。
  • この決定的な出来事が、彼女の自己凝視と才筆に大きな深化を与えるのだ。
  • 彼女は「なぜ試みなかったのだろう」と自問できる人だった。
  • 避けられる罪は、どんなことがあっても避けなければならない。
  • 全世界いたる所に、無数に散らばっている『スウ姉さんたち』に。
  • 名前を愛しているのか、本人を愛しているのか?
  • 見えない色を色と名指さず現出させる言葉の運用、そして記憶の力。
  • 郵便配達員がこんなに愛らしく描かれたことがあるだろうか?
  • 家族の会話がイタリア現代史に光を当て、重要な証言にもなるのだ。
  • 彼女の言葉ひとつが、家族の体液バランスを、微妙に崩す。
  • 魔法に近い磁力で人々を結びつけ、時間をかけてそれを破壊していく。
  • 彼女がコッカー・スパニエルを飼っていた本当の理由。
  • すべての事柄が「思いがけなく」起こり、つながっていく。
  • 手間のかかるお菓子をポイポイと食べたときの満足感とあっけなさ。
  • 人間なら誰もが宿しているだろうかすかな狂気と奥深い罪の意識
  • どちらにも入り、どちらにも入らない風通しの良い場所。
  • 読者は時に初々しく、時に残酷でやさしい少女たちに出会う。
  • 黄色い眼はそれを見逃さず、同等の重さを自分にも投げ返すのだ。

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