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2022.08.15

唐仁原教久さんを偲んで。

7月6日にイラストレーター、アートディレクターの唐仁原教久さんがお亡くなりになりました。

間質性肺炎の急性増悪が原因で、享年71歳。
ご家族からご逝去の発表があったのは8月8日。故人の希望で葬儀はご近親者で行われたとのことです。
偲ぶ会や追悼展の予定は今の所予定されていないとのこと。

 

故人のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

 

唐仁原さんはTISの設立時より会の運営に尽力下さり、長く理事も努めてこられました。TIS事務局を現在の新富町に移転するタイミングで退会されましたが、会を離れてもイラストレーターの先達として、我々の心の支えのようにして存在してくださっていました。

 

我々イラストレーターにとって唐仁原さんと言えば「HBギャラリー」というイメージがあるのではないでしょうか。

1985年に神宮前の裏道にオープンしたHBギャラリーは(現在より70メートルほど表参道寄りの位置にあった)、東京でイラストレーションを志す者にとっての「居場所」が生まれたということだと思います。84年にセツモードセミナーで絵を学び始めた私は、原宿や青山の街を徘徊する途中、自分と同じ匂いのする絵に出会える場所をとても貴重に考えていました。

 

その後のHBギャラリーで行われて来たことは、私が何を語るまでも無く、HBに関わった数多のイラストレーターの言葉に委ねるのが良いでしょう。

 

東京にはHBギャラリーをはじめイラストレーションに特化したギャラリーが、青山~神宮前の狭いエリアに林立しているという、世界的にも稀有な状況があり、我々はその恩恵を受けながら、なんとかイラストレーターとして生業を立ててきました。

そんな場所を、ご自身のお仕事と並行させて運営されて来られたエネルギーはどれだけのものだったでしょう。そうしたご苦労が71歳という早すぎる年齢での逝去に繋がってはいないか。あらためて唐仁原さんが我々に遺して下さったことを振り返ることの重大さを感じている今です。

 

唐仁原さんはまだイラストレーターデビューした直後の私の仕事も見てくださっており、「がんばってるね~」なんて声をかけてくれてました。
それは今までイラストレーターを続けて来れた確かな力になっています。

 

唐仁原さんがお亡くなりになったこと、残念で悲しく、寂しいです。

 

小池アミイゴ