第19回 TIS公募

大賞受賞者インタビュー 大賞受賞者インタビュー

大賞受賞者インタビュー

幾何学図形のポップさとテーマのおかしさ。派手でどこか懐かしくもあり今の空気も持ち合わせている画風。大賞を受賞し水越智三さんが生み出す世界観とご自身について、色々お聞きしました。

 
——— 受賞の感想をお聞かせください。

とても嬉しいです。
ここで止まらずに進化し続けていかないと、という気持ちにもなりました。

——— 公募への応募のきっかけをお聞かせください。

イラストレーションの仕事が増えるきっかけになればいいなと思い応募しました。

——— 影響を受けた作家の方やエピソードはありますか?(イラストレーターに限りません。)

たくさんいすぎて答えられないですが、イラストレーターとして尊敬しているのは100%ORANGEさんと管弘志さんです。

——— 作品を描かれる時の発想、着想はどんなところからきますか?

ほとんどは自分の身の回りから来ています。持っているもの、欲しいもの、かわいい生き物、出先で見つけたパッケージや看板のデザインなどなど…。それらをスケッチしたり買ったり、写真に撮ったりして溜めています。


最近撮ったかわいいロゴ

 
——— 作画方法について教えてください。

日頃から溜めているスケッチや写真を眺めて、絵に使いたいモチーフを選んでAdobe Illustratorで描きます。いい感じに描けたら、それらを起点に絵を広げていきます。連想ゲームのように描き足していって完成します。

———今の画風にたどりついたいきさつを教えてください。

大学3年生の時に今の作風に近いものを描き始めました。それまでは大きく分けて2種類の作風がありました。
一つは70〜80年代のヘタうまイラストレーションに影響を受けたもので、可笑しくて不穏な雰囲気が好きで真似して描いていました。一方で抽象絵画や構成主義のポスターがきれいで面白くて大好きで、色面を使って構成するような作品も作っていました。
でもあるとき学校の課題が多すぎて、手描きの絵をスキャンして調整して…という過程をやっていたら絶対に提出期限に間に合わないときがありました。そこで仕方なくパソコンで描いてみるかー…となり、やってみたら、その2つの作風が合わさったような絵が出来上がったんです。それがすごく気に入って、今でも続けています。

大学3年時の作品


大学3年時の作品

 
——–アナログでも作品を制作されていますか?

しています。普段はパソコンで描いて完結していますが、展示の時などにこちらの世界に出力したいという気持ちが生まれます。ポスターや絵画を見るのが好きなので、自分の作品もそうしたいという気持ちがあるのかもしれません。
ここ3年くらいはキャンバスやパネルにペインティングしていましたが、時間がかかりすぎるので、今後は積極的にはやらないかもしれません…。スクリーンプリントなど、他の方法を模索中です。

ペインティング作品を展示

 
——–作品を作るときに一番に気遣っているところや一番みてほしいところはどこですか?

一見楽しげな画面に見えて実は違うところです。

——–今後の展望、チャレンジしてみたいことはありますか?

イラストレーションの依頼が増えたら嬉しいです。
あと自分の作品としてはもっと素朴できれいな画面を作りたいです。

——–ありがとうございました。水越智三さん、これから益々のご活躍を願っています!

 

水越智三 / Tomomi Mizukoshi
1992年東京生まれ。
多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。2017年ごろからイラストレーターとして活動。
最近の仕事に日本科学未来館常設展イラストレーション、文芸誌「群像」表紙イラストレーション、中国のファッションブランド「3ge3 project」とのコラボレーションなど。
主な個展に「pools on asphalt」(museumshop T, 2019)、「ベビー犬とおとな」(NADiff a/p/a/r/t, 2022)、「昼寝して虫歯生まれる」(HEADQUARTERS, 2023)などがある。