第回 TIS公募

《 審査員総評 》

◆ 大久保明子(装丁家・文藝春秋デザイン部)
全体にレベルが高く、楽しく審査出来ました、ありがとうございました。提出点数が多いほどいいというわけでは決してありませんが、やはり数が多い方はクオリティも高い傾向にありました。いいなと思っても数が少ないと画風が掴みきれないということもあります。
オンライン審査になったことにより、原画の迫力を感じられないのは寂しいですが、全てをフラットに見られる良さはあると思いました。イラストレーションという仕事が最終的には印刷されるか液晶画面で見られることが多いことを考えると、良い審査方法なのかも知れません。

◆ 小山薫堂(放送作家・京都芸術大学副学長)
イラストレーションの審査がこれほど難しいとは思いませんでした。自分の好みでもっと簡単に審査できると思いきや、このタッチも、あのテイストも、そこのモチーフも・・・とにかく好きなものが多過ぎて困りました。イラストレーションの素晴らしさと可能性を改めて感じさせていただき、大変勉強になりました。ありがとうございました。

◆ 寺田克也(マンガ家)
審査するというのは逆にじぶんの眼力を審査されるという事でもあり恐怖です。人が選ぶのですから好みに左右されるものですし、審査員の絵への造詣の深さ浅さもさらけだされるおそろしさ。そこを越えて今回参加させていただいたわけですが、結果いろんな刺激を頂いてよかったな、という単純な思いに着地しました。オンラインによる画面だけで審査してる時に感じる絵の強さとは、みたいな事にも思いをはせつつ、ああでもないこうでもないと、じぶんの中で残った10数名の方の作品を目の前にして唸って順位をつけてました。もちろん皆さん分かってると思いますが、この順位はこの審査員、この時代、この今の持っている感情によって様々に変化するものなので、賞のあるなしに拘ることはないです。その順位は絵の良さとか悪さではない。大事なのはこういう賞に出してみよう、そして出してみた!という行動の素晴らしさであって、それは他者にじぶんの表現を届けようとする絵を描くという行為の本質でもあると思います。これからも描き続けていってください。

◆ カミガキヒロフミ/IC4DESIGN
応募者の熱意が伝わってくる作品群でした。想いを受け止めながら慎重に審査したつもりですが、個人的な好みも出てしまったと思います。またオンライン上での審査ということで、ブラウザで見た時にどう見えるかということも影響したと思います。時代性も取り入れつつ自分自身も含め、進化していかないといけないのでしょうね。みなさん最高の作品をありがとうございました。

◆ 木内達朗
全体的に良い作品が多かったと思います。入選作品から受賞作品を選ぶのは、どの作品も素晴らしくて非常に迷いました。圧倒的にこれという作品は無かったかもしれませんが、誰が受賞してもおかしくなかったという印象です。

◆ サイトウユウスケ
今回TISでは初のオンライン審査になり、アナログとデジタル、サイズの大小の差がなく並び単純に絵力だけの審査になったのかと思います。メディアに載ることを目的とした本来のイラストレーションであるところの公募という意味ではより公正な審査方法になったのかもしれません。そういった意味では審査員にも審美眼が問われる緊張の審査でした。

◆ 塩川いづみ
お仕事で描くイラストレーションはweb上で使われることも多いので、今回のweb審査は実際に仕事で使われた時のイメージで評価できる審査だったと思います。原画だと紙のサイズやマチエルなどの要素に影響されがちなのですが、サイズが一定なのでフラットに内容を見ることができて良かったです。個人的には一次審査で票を入れた作品で二次審査に上がって来ないものも多かったので、目に見える結果が全てではないなと思いました。それと、審査の場では一枚絵で勝負より数枚あるとよりその人の世界観が伝わるので印象が強くなるように感じました。

◆ Jun Oson
TISの公募ということでどの作品もすごくクオリティが高く、自分の中で賞を選出するのがとても大変でした。イラストレーションというのは時代に寄り添うものなので流行のタッチというのが否が応でも出てくるのですが、時代の進むスピードが早くなりすぎて「古い」「逆に新しい」などという概念がかなり薄まって、単純に「魅力を感じる絵か?」という基準で選んでいる自分に驚きました。

◆ 五月女ケイ子
数年前に審査させていただいた時より、イラストに視点やアイデアが加わり、面白いイラストが増えたように思います。オシャレ度もアップしてました。その分、野生味あふれる荒削りなイラストは少なくなっているかも。見ていて思ったのは、作品は点数がある方が、その人のスタイルが浮き出てくるなということでした。たくさんいい刺激をいただきました。どうもありがとうございました!

◆ 竹井千佳
今回多く票を集めたのは、スタイルや世界観が確立していてある程度の数を出してくれた方の作品でした。また、いくつかのスタイルより一つに絞った方のほうが強く印象に残りやすかったです。それぞれの作品から描いた方たちの真剣な思いが伝わり気が引き締まりました。
選考から外れた中にも素晴らしい作品は沢山あります。選ばれなかった方もどうかご自身の作品を否定することなく、それぞれのスタイルを極めていってもらえたら嬉しいです。
腕試しのツールとして、またぜひ公募に挑戦してください。

◆ 吉實恵
今回はオンライン審査でしたので、落ち着いた環境で繰り返し拝見しました。約3000点の絵から刺激をたくさん受けながら、1点ずつじっくり見ましたが、応募作が1点のみの人を判断するのは難しかったです。結果的に粒を揃えて、見せ方を意識した人が上位に残りました。入選を逃した作品にも興味を惹かれるものがたくさんありましたが、自分の特色を客観視して、最大限良く見せる工夫は大事だな、と自分を省みる機会にもなりました。