佐竹政夫さんの仕事「ライアンの代価」(小池アミイゴ)

が、しかし!
本屋をブラついてるボクをロックオン、向けられた銃口の冷たくギラリとした魅力に負け、ついつい手を出してしまうのがトム・クランシーのジャックライアンシリーズ。
恐ろしいなあ〜、この鋼鉄のメカがバッタバタと人を殺めてゆくんだ!そんな恐怖と裏腹に心に響く禁断のコトバ「カッコいいー」
今回もまんまとボクに文庫本2冊をワシ掴みさせた佐竹政夫さんの装幀画の迫力!「ライアンの代価」(新潮文庫刊、トムクランシー with マーク・グリーニー:著、田村源二:訳) 素晴らしいです。
トム・クランシーの処女作「レッドオクトーバーを追え」(文春文庫刊)が発表されたのは、未だ冷戦中の1984年。
当時の日本人の多くは「冷戦」というものを、ぼんやりとした恐怖と共に情緒的に夢想していたはずだけど、トム・クランシーは言わば科学的に、実に緻密な取材を持って描き上げ、世界の仕組みをボクに見せてくれました。(レーガンの時代のアメリカからの視線であることを差し引いてもだね!)
その表紙に描かれたソ連の原子力潜水艦。(若い人「ソ連」て知ってるかな?)
こんなものを我々が視認してしまって良いのか!?という、見てはならぬものを見てしまった時の驚きと恐怖、そして、精緻な描写に出会った快感と喜び。
では、この絵はどんな風にして描かれたのだろうか?編集者はどんなアプローチで仕事を進めたのだろうか?そもそも制作費は?
興味は尽きず、結果ボクはジャックライアンシリーズを読み続けてしまっているんだな〜。今回の装幀も、小説として描かれている内容と拮抗してボクにとっては「事件」!
“新幹線”や“トーマス”や“カーズ”のキャラクターにハマっている3歳の息子も、さっそく興味津々で「これな〜に」と訪ねてくるから「これはとてもコワいものだよ」と諭しながらも、「興味持つの、わかるなぁ〜」ってね。
まったく人間はなんて矛盾を抱えた生き物なんだろうか。
いやいや、「人間」じゃなくて「男子」だよね。
さらに「アメリカの正義」に重心を置いて描かれた印象の戦略ホラーは、その火薬臭やガソリン臭がアジア在住のボクにはキツく感じる2013なう、なんだけど、それでも最後までボクに手に汗握ったまま読ませてしまう痛快無比のエンターテイメント小説。
その装幀画の緻密にして骨太な仕事っぷり!
好きだなあ〜
ARCHIVES
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