fukiko tamura
タムラフキコ

講談社のPR誌「本」の表紙を描いています。

クライアント名 : 講談社

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  • 電車の並走って面白い。お互い走る電車に乗っているのに止まったように窓の向こう、あちらの乗客がよく見えたりする。やがて電車はゆらいで離れてゆく、学術文庫を手にした二人も。別の車両、別々の運転手さんに命をあずけて。
  • 講談社の書庫を見せてもらった。作家ごとに引出に貯めこまれた資料が気になりだす。 今はネットで少し時間を使えば大抵のことは集められる、気がする。 画家の風間完さんが自分の集めた資料のことで「大出版社が多少なりとも大事にしてくれるのは 僕よりもむしろ、あの膨大な資料の引き出しに対してなのだと思うべきだ」とちょっとおもしろく書いていて そういうことができない私は 切り取って引出を作るその意識に憧れた。
  • かつては羽田の滑走路建設の人員を日夜運んでいたという、サンタバルカ号に のって 工業地帯を運河から見る。京浜工業地帯、昔 社会で習った名前だ。日が暮れるとたくさんのライトが光り、煙突は火をふいているのが見える。 においが鼻をつく。舟から夜景をみるのは楽しい。 けれど自分が何を見たがっているのか上手く言えない。
  • プロを観ていると ビリヤードは、何球も先まで球の動きをえがく力と精緻な技術 それに強いメンタルが必要なスポーツだ。でもハスラーといえば「いかさま師」のこと。賭事が持つ魅力と中毒性、昨今のスポーツ業界の話題などを  ふと思い浮かべた。
  • 小さな船が仕事を終えたようにぴゅんぴゅん帰ってくる。大量の荷物を上げ降ろす港は向こう側、遠くまでクレーンが林立している。横浜大桟橋「くじらのせなか」より。外国へ行く船も発着する。
  • 映画館はちょっと怪しくていい。暗くなって自分を離れ、隣も誰だかわからなくなる。本谷有希子さん『腑抜けども、悲しみの愛をみせろ』を原作にした映画の絵、描いたことあります。普通と強烈の振り幅が面白かったです、タイトルのキレ具合といっしょで。
  • 階段とか歩道橋とかが好きです。行動範囲が立体的に見えるからかもしれない。中学生の登校風景。一人一人にいきいきした実感があってくれればいいと願います。
  • 固く霜が降りる朝、空気はツーンと冷たい。どんど焼きに行ったり、田んぼにスケートに行ったりした子供のころ。けれど 明るい陽が射しはじめて、冷たい朝はぼやけて溶けていく。やがて乾いた暖かい日、私の田舎、南信の冬です。
  • 雪のように、人がぱらぱらと行き交う。人は出会い、また近くを通っても気づかなかったり。今は携帯があるから、どこにいてもつながっているようなものだけど 昔 その人にだけ明かりがついていればいいのに、と思った。有楽町で逢いましょう。

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