COLUMN
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イラストレーターのビジネス知識

2020.07.31

著作権のことをもっと知ろう 第6回

Qインターネット上の画像を資料にして絵を描く時の注意点を教えてください。
A著作権侵害に注意。
ほぼそのままの形で使用することは避けましょう。
別項でも触れましたが、インターネットで公開されているあらゆる画像(写真、絵)と動画は誰かの著作物であり、それぞれに著作権があります。それをそのまま無断で流用すれば著作権侵害になります。ネットで探した画像を絵を描くための資料にすることは今や当たり前のこととして行われていますが、これも厳密にいえば無断で行なうと著作権侵害に該当するケースがあります。とはいえ、著作権侵害は権利者が訴えて初めて成立する親告罪なので、元資料が特定されない利用の範囲にとどめたり、「別物」になるような充分なアレンジを加えることで回避することが可能です。

厄介なのは、著作権者が問題にしていなくても「善意の第三者」が類似性や盗用を指摘して来ることがあり、それがネットで「炎上」する事件がたびたび起きています。著作権法あるいは判例に照らして問題のない範囲であってもこうしたクレームからトラブルに巻き込まれることがあり、少なくとも写真をそのままトレースしただけとか、人物の衣装や髪型やポーズが同じといった、依拠性が明らかな利用の仕方は避けるべきです。 何らか他者の著作物を参考にしても、ちゃんと「自分の絵」になっていることが肝要です。

著作権の一部を放棄あるいは不行使として、著作権フリー素材の形で有償・無償で提供されている画像もあります。提供者ごとに利用規約・ルールが設定されているので、それに則って利用しましょう。中には改変や翻案を禁じているものもあり、「イラスト化」は広義の改変・翻案に該当します。そもそも、絵に描き起こす想定がされていないこともあり、この場合は提供者に問い合わせるしかありません。

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